扁平母斑(茶色アザ)のルビーレーザー治療
ルビーレーザー光線は、正常皮膚や血管にはほとんど吸収されず、メラニン色素等によく吸収される性質があります。 そのため正常組織への損傷を最小限に抑えながら色素を破壊します。 この性質を利用して、シミ、ソバカス、アザ等の色素異常症の治療を行います。
扁平母斑(へんぺいぼはん)は一般に茶色アザと呼ばれる扁平な色素斑です。 神経櫛(neural crest)起源性母斑と考えられています。 生まれつきよりあるものや、思春期頃に出てくる場合があります。 体中のどこにでも出現します。一般に大きさや色調は一生変化がありません、また癌などの悪性腫瘍になることもありません。
ルビーレーザーは1回に1平方センチメートル(1X1 cm)ずつ照射します。 1回の照射時間は3000分の1秒です。レーザー光が皮膚に照射されると輪ゴムではじかれた位の痛みがあります。 痛みの気になる方はあらかじめ治療の40分前に塗るだけの麻酔薬を照射部位に塗ります。麻酔薬を使いますと、痛みはかなり軽減します。
ルビーレーザー照射部位は軽いやけどに近い症状を示します。 治療後1週間は患部を直接水に濡らしたり、こすったりしないように注意して下さい。 治療後ヒリヒリとした痛みが感じられることがありますが、しばらくすると消失します。 また治療部位より浸出液が出ることがあります。 浸出液が多い時は、消毒、ガーゼ交換が必要となりますので来院して下さい。 治療後レーザー照射部位は顔面なら7日位その他の部位は10〜15日で黒褐色のかさぶたとなり剥がれ落ちます。 かさぶたのはがれたあとは少しピンク色かかった肌が見えてきます。 ピンク色の肌は、新しく出来たばかりの弱い肌なので、3ヶ月間はこすったり強い刺激を与えたりしないでください。 また紫外線は色素沈着の原因となり、治癒期間が延長しますのでしばらくの間、強い日焼けをしないようにご注意下さい。
扁平母斑は神経櫛起源性の色素斑であるため、ルビーレーザー照射後一度消えても再発を繰り返しやすい性質があります。再発する場合は治療後2−8週間で再発してきます。 30%の方は、一回の照射で消えますが、60%の方は再発を繰り返して、治療回数をかさねる毎に、徐々に薄く、また再発の期間も長くなってきます。 残りの10%の方は、残念ながら何回照射しても全く同じように再発してきます。 しかし、特に症状が悪化したり、跡を残したりすることはありません。 治療回数、期間については症状を見ただけでは予測出来ないため広範囲治療の場合はあらかじめ一部テスト照射を行うことがあります。 生まれつきのものより思春期発症の扁平母斑の方が再発率が低い傾向があります。
何回かの再発を繰り返して徐々に薄くなっていきます。
生まれつきの扁平母斑です。 |
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アザは消えています。 |
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アザが再発しました。 |
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再発は起こっていますが、 |
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最後の治療前です。 |